岩手県には、VAPEショップがありません。
VAPEを取り扱っているお店はいくつかあるものの、専門店として看板を掲げているお店がないのです。
そんなおれが、初めてVAPEショップに行ったときの話です。
去年の暮れ辺りに、遠出する機会がありました。
VAPEにハマっているので、この機会にショップに行ってみるのもいいなと思っていました。
ここぞとばかりに、その地域にあるVAPE専門店の所在を調べました。
その地域には複数の店舗があるようで、アクセスしやすいショップに絞って足を運ぶことにしたのです。
ところで、知っておいてほしいことがあります。
いつもエラソーに文章を書いていますが、おれは気が弱いです。
とっても弱いです。
TSUTAYAで観たいDVDが見つからないときでも、絶対に店員に声をかけずに、意地でも自分で探すタイプ。
店員さんとコミュニケーションをとることに、なぜか緊張してしまうのです。
ちょっとしたプレッシャーでも汗や震えがとまらない、豆腐メンタルです。
VAPE専門店の前に近づくと、案の定ビビリミッターが発動してしまいました。
特に欲しいものはないし、引き返そうか。
いや、せっかく来たんだから入ってみるべきか。
でも、買う流れになっても嫌だな。
だがしかし! もう後には引けない!
意を決して、入店しました。
狭い店内には、おしゃれな店員さん。
客は、自分ひとり。
目のやり場を探して、とりあえずMODが並んだショーケースの前に立ちました。
すると、ほどなくして、恐れていた事態が起こってしまいました。
店員さんに、声をかけられたのです。
「何かお探しですか?」
「いや、ちょ、ちょっと、どんなもんかなって」
「もうすでにVAPEは使われてるんですか?」
「あっ、はい、一応……」
「ゆっくりご覧になってください」
「あっ、ありがとうございます」
パリピ系ではないが、サブカル系でもない。
ストリートやヒップホップともまた違う。
でも確実におしゃれな店員さんは、とても優しかったです。
それにもかかわらず、目も合わせられませんでした。
キョドりながら無愛想に応えるのが精一杯だったのです。
まあ、いつものことです。
しかし、この難関を乗り越えることができたのは、大きな収穫です。
VAPERとして、いや、人間として、ひとつレベルがあがった瞬間でした。
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